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競馬のトリビア 逃げ馬と追い込み馬
 強い馬のほとんどは、直線まで好位から中団で体力を温存し、残り3ハロンで一気に脚を使い、ゴール板を1着で駆け抜けていく。シンザンやシンボリルドルフなどはこういったタイプの馬です。 しかし、中には逃げて勝つ馬、最後方から追い込んで勝つ馬もいます。そんな馬たちに焦点を当ててみます。
 まずは逃げ馬。競輪では「先頭固定競走」といって、風圧の影響を受けやすい先頭を残り1周半まで走る誘導員がおり、これは先頭を走ることが相当不利なことを意味しています。 しかし、絶対的な能力の差で最初から速く走れてしまう馬もいて、トキノミノルやマルゼンスキーがこのタイプの馬でした。 また、ミホノブルボンも逃げ馬でしたが、これは1ハロン12秒のラップを正確に刻んだ結果がたまたま「逃げ」になったとのこと。 ただ、気性的に他馬に寄られるのが嫌で「暴走」してしまう馬もいました。例えば、カブラヤオー。 皐月賞もダービーも前半の1000mを58秒台で逃げ、最後は口を割ってフラフラになりながらも逃げ切って二冠を達成。 youtubeに1975年のダービーの映像が残っています。
1975年 日本ダービー
同じように口を割りながらアホっぽく逃げる馬と言えばメジロパーマー。 この馬は凡走も多く、障害入りした経験もある馬ですが、宝塚記念と有馬記念を制したグランプリホースです。
1992年 有馬記念
でも、私が一番好きな逃げ馬はツインターボ。もう何も考えずにとにかく大逃げ。 ほとんどのレースでは4コーナーを迎える前に後続に捕まってしまうわけですが、旧6歳時の七夕賞,オールカマーを連勝したときは、最後の直線まで脚色は衰えず、ツインターボ全開でゴール板を駆け抜けたのでした。
1993年 オールカマー
そして、逃げ馬として「完成」された馬、サイレンススズカ。 香港から帰国後の旧5歳バレンタインSから毎日王冠までの6連勝、そして天皇賞(秋)で壮絶な死……。 エルコンドルパサーやグラスワンダーを完封した毎日王冠は圧巻でしたが、平地重賞で大差勝ちを収めた金鯱賞も永遠に語り継がれることでしょう。
1998年 金鯱賞
1998年 毎日王冠
 続いて、追い込み馬。ゲートが苦手だったり、ダッシュがつかないために後方からスタート。 外を回るため距離のロスが大きく、バテた馬が壁になってしまうリスクもあり、見る者をハラハラさせますが、直線一気が決まったときには何とも言えない興奮を味合うことができます。 三冠馬の中で追い込み馬と言えばミスターシービー。3コーナーまでは最後方待機。直線手前から長く良い脚を使える「マクリ」タイプでした。
1983年 菊花賞
 最後方からの一気の追い込みと言えば、オグリキャップのライバルであったタマモクロス。 1988年の京都金杯で最後方から内を突いてのゴボウ抜きは伝説です。 このレースを含めて8連勝(重賞6連勝)で天皇賞春・秋連覇,そして宝塚記念を制するのでした。
1988年 金杯(西)
 1200mの最後の直線でもの凄い剛脚を見せたのは1994年クリスタルCでのヒシアマゾン。 他にも長距離レースでの追い込み勝ちは数多くありますが、クリスタルCは距離が距離だけに強烈な印象を与えた剛脚でした。
1994年 クリスタルC
 同じ1200mでもダートで信じられない末脚を繰り出す馬がいました。その名もブロードアピール。 他の馬よりも歩幅が小さく、ピッチの速い走法が特徴で、私の好きな馬の1頭でした。 ダートで上がりの3ハロンが35秒台、凄い末脚です。
2000年 根岸S
 そして、追い込み馬として「完成」された7冠馬ディープインパクト。 ケートがあまり上手ではない馬でしたが、最後の直線では「飛ぶ」ように33〜34秒台で追い込んでくるのでした。 ただ、凱旋門賞では薬物検出で失格になってしまったのが残念でなりません。
2005年 有馬記念
 今後、サイレンススズカやディープインパクトを超える逃げ馬や追い込み馬は出てくるのでしょうか。 両馬とも父はサンデーサイレンス。偉大な種牡馬でした。