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こらむ   道路特定財源と予算至上主義
 いきなり難しいタイトルですみません。m(_ _)m 2007年の参議院議員選挙で与党(自民党・公明党)が過半数の議席を確保できず、 衆参で多数派が異なる「ねじれ国会」となっていることは、ご存じの通りです。ただし、衆議院は2005年の「郵政解散」の時に与党が全議席の3分の2を確保しており、 参議院で否決されても憲法第59条により、3分の2以上の賛成をもって再可決できる状況にあります。 ねじれ国会となって最初に「3分の2再可決」されたのが「イラク特措法」(イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法)でしたが、 2008年通常国会でも、ガソリン税などの税率を暫定的に変更する「租税特別措置法」と、 道路特定財源を10年間維持する「道路整備費の財源等の特例に関する法律」などが再可決されました。
 私は、必要な道路は造るべきだと思っています。それは、2008年の冬に鳥取,島根へ車で行ったときに思いました。 この地域には「山陰自動車道」という高規格幹線道路が計画されているのですが、進捗率が低く、 鳥取IC〜青谷IC,羽合IC〜名和ICが開通していないため、同じ鳥取県内でも鳥取から米子へ行くのにものすごく時間がかかりました。 また、この山陰自動車道は一部を一般国道自動車専用道路に格下げして早期全線開通を目指しているため、 島根県内では米子西IC〜東出雲IC,松江玉造IC〜斐川ICが有料,その他の区間が無料など、有料区間と無料区間が交互に現れ、利用者の利便性を損ねています。
 ただ、自民党の道路族が言う「必要な道路」を全部作る必要があるのでしょうか? その答えは「No」だと思っています。
 話題は変わりますが、2008年6月に海外出張へ行くことになりました。行き先はイギリス,ドイツ,オランダ,スイス,デンマーク。 しかし、今回の出張は会社の費用で行くものではありません。実は、国の予算を使って行くんです。 お役所には「予算至上主義」というものがあります。まず、お役人の仕事は、自分の課にできるだけ多くの予算を確保すること。 予算を確保するために仕事を作るわけです。そして、もう一つの仕事が、予算を使い切ること。予算を使い切るために、また仕事が作られます。 そう、今回の仕事も「予算を使い切るための出張」なわけです。
 他にも、国の予算を確保し、使うための仕事に携わったことがあります。まず、予算を確保するためには、12月に概算要求しなければいけません。 概算要求するために、経済産業省や国土交通省などの省庁は、財務省に対して働きかけを行います。 この概算要求をするためには、当然「国の仕事」が必要となりますので、だいたい8月頃、関係業界に対して仕事を持ってくるように言います。 この国のための仕事を私たちは4月頃までに考えなければならず、そのネタを10月頃から半年くらいかけて考えるわけです。 しかし、この「国のための仕事」というのは、私たちには必要のない仕事が多く、国の予算を確保し、使うための仕事になっているのが現状です。
 でも、私も一国民です。国と地方をあわせた借金は、2008年現在で1000兆円を超えています (リアルタイム財政赤字カウンターを参照)。 本当に必要のない「国のための仕事」は一刻も早くやめて、借金を減らすべきです。
 道路特定財源で造ろうとしている道路の中には、「本当は必要のない道路」も含まれているはずです。 本当に必要な道路は、道路計画の半分くらいではないでしょうか。 余った予算でマッサージチェアーを買ったり、慰安旅行に行ったりというのも「予算至上主義」がもたらしたと言えるでしょう。 予算が余ったら、それで借金を返し、評価される仕組みが必要だと思います。