CPUとウイルス対策
コンピュータのCPU(Central Processing Unit)とは「中央演算処理装置」のことですが、「シーピーユー」の方がなじみ深いのは言うまでもありません。
コンピュータの頭脳です。ちなみに、メモリは机の上、ハードディスクは引き出しに例えられます。
頭の回転が速いほど、多くのことが処理できるわけですが、CPUの性能を表す指標として「クロック周波数」があります。
1971年に初めて登場したマイクロプロセッサー「Intel 4001」のクロック周波数は741kHz。
以後、n年後の周波数が2のn乗倍になるという「ムーアの法則」に従って、2004年にはPentium 4 3.8GHzまで上昇しました。
しかし、頭の回転が速くなると頭に血が上りやすくなるのか(笑)、消費電力と発熱量の増大が問題に。
TDP(Thermal Design Power;熱設計電力)は115Wまで上昇し、特に自作パソコンではTSpec(Thermal Specification;許容温度)を超えないように注意しなければなりませんでした。
ノートパソコンでは、消費電力がバッテリーの駆動時間に大きな影響を与えます。
そこで、Transmeta社はTDPを5Wにまで抑えたCPU「Crusoe」を発表しました。
しかし、処理速度まで低下してしまい、私が持っていたVAIO Uもかなり遅くてイライラしました。
そんな状況をIntelが黙って見ているわけもなく、Pentium Mを発表。
TPDは21Wと高めですが、処理速度への影響が小さく、Let's Note T2はまだ現役で使っています。
その後、CPUコアを2個,4個使用するデュアルコア,クアッドコアも登場し、様々なアーキテクチャ(内部設計)を持つCPUが世の中にありふれています。
もはやクロック数だけでCPUの性能を比較することができなくなってきました。
私が持っているPCで恐縮ですが、Core2 Duo 2.2GHzを積んでいるDell Inspironと
最新の超低電圧版CPUのAtom Z 1.6GHzを積んでいるVAIO Pでは、
前者の方が何と2.6倍も処理速度が速いらしいんです。確かに体感的にもそのくらいの違いがあるように思えますが……。
以下、CPU指標チェッカ 2009 Q2様から、CPUの比較係数を転載します。
クロック周波数にこの係数を掛けると、実際のCPU処理速度が比較できるようになるそうです。
CeleronはPentiumやCore CPUの廉価版ですが、同じ名前が付けられているので、世代の区別がつきにくいのが難点です。
また、AMD製CPUについては省略していますが、同時期に発売されたIntel CPUと同じ係数を掛ければだいたいOKです。
Crusoe | x0.70〜0.80 |
Celeron M | x1.45〜1.70 |
Atom | x0.90〜1.00 |
後期Celeron | x1.50〜1.70 |
Pentium 4 | x0.95〜1.10 |
Core Solo/Duo | x1.65〜1.70 |
Pentium D | x1.00〜1.15 |
Core2 Duo (T/L/X/SU) | x1.70〜1.90 |
Pentium M | x1.50〜1.60 |
Core2 Duo (E/X) | x1.90〜2.00 |
初期Celeron | x0.80〜0.90 |
Core2 Quad | x1.95〜2.10 |
中期Celeron | x1.15〜1.25 |
Corei7 | x2.15〜2.20 |
5万円台のネットブックから超低電圧版CULVモバイルノート,ノートパソコン,デスクトップパソコンといろいろな種類が店頭に並んでいますが、
AtomからCore2 Duoまでこれだけ性能差があるCPUが同時期に並んでいる状況は今までなかったように思います。
初めてPCを購入する人は混乱してしまうのではないでしょうか。本コラムがPC選びの参考になれば幸いです。
続きまして、ウイルス対策ソフトについてです。
ブロードバンドが当たり前になって久しく、PCを購入してインターネットに接続しない人はまずいないでしょう。
ソフトウェアやドライバを更新するだけでもインターネットの接続が必要な場合もあります。
しかし、インターネットに接続すると、コンピュータウイルスの感染機会がぐーんと多くなってしまいます。
最近ではUSBメモリなどからでも感染してしまうウイルスが氾濫していますので、ウイルス対策は不可欠です。
しかし、Windowsにはウイルス対策ソフトが含まれていません。
そもそもWindowsへの侵入が目的のウイルスに対してWindowsが無力なのは自明でしょう。
そうなると、別途ウイルス対策ソフトをインストールしなければなりません。
しかし、市販のソフトは毎年更新料がいるものが多く、ウイルス対策ソフトが常駐することでWindows全体の動作が遅くなってしまうこともあります。
一方、海外メーカーを中心に、無料で動作の軽いソフトが出てきました。
広告表示などで無料化を実現しているわけですが、心配なのはきちんとウイルスを検出してくれるかどうか、ということ。
そこで、SRI International(スタンフォード国際研究所)調べのウイルス検出率をご紹介しましょう。
下記は2009年10月末時点での情報で、日本で購入(ダウンロード)できる製品だけを掲載しました。
ちなみに、ソースセクストのウイルスセキュリティZERO(3990円;1台,永年版)は載っていませんでしたが、別の調査によるとRank 20くらいの検出率を確保しているようです。
なお、調査によって結果が大きく異なるようですので、下記についてもあくまでご参考までに、ということで。
Rank 2 | AVG | 89% | チェコ | 無料 |
Rank 4 | Avira AntiVir | 88% | ドイツ | 無料 |
Rank 8 | Kaspersky | 86% | ロシア | 6800円(1台,1年版) |
Rank 11 | F-Secure | 84% | フィンランド | 4200円(1台,1年版) |
Rank 13 | GData | 81% | ドイツ | 3780円(1台,1年版) |
Rank 15 | Symantec Norton | 80% | アメリカ | 4980円(3台,1年版) |
Rank 17 | Avast! | 80% | チェコ | 無料 |
Rank 18 | Trend Micro ウイルスバスター | 80% | アメリカ | 5980円(3台,1年版) |
Rank 24 | Mcfee | 77% | アメリカ | 5775円(3台,1年版) |
Rank 30 | Eset NOD32 | 7% | スロバキア | 5040円(1台,1年版) |
日本ではアメリカ生まれのNorton,Trend Micro,Mcfeeが普及していますが、なんとなんとドイツやチェコのフリーソフトの検出率の方が高い!!
ということで、私は早速AVGに乗り換えてみました。スパイウェアも検出してくれるみたいで、動作もなかなか機敏。
特に問題がなければ使い続けようかと思っています。