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こらむ   2005衆院選
 私は今どき珍しく(?)、政治に関心のある一国民です。小さい頃は、社会科の中でも「公民」が好きでした。 私が勉強していた頃は、ちょうど55年体制が崩壊し、細川内閣が政権についたこともあって、まさに政治が動いていた時期でした。 当時は、開票速報を見ながら、自民が勝つのか、非自民が勝つのか、子供ながらドキドキしながら見ていた記憶があります。
 あれから12年。自民党は、「自・社・さ」政権を経て、現在は公明党と組んで、いつも間にやら政権に復帰しています。 あのころなくなっていたはずの派閥も健在で、「旧・橋本派」だの「森派」だの毎日のニュースで聞こえてきます。
 一時期、政治家になってもいいな、と思ったときもありました。でも、最近は政治家になりたいとは思いません。 政治というのは、国のお金を獲得するために根回しをしたり、支援団体へお金を流す見返りに集票をお願いしたり、 と『癒着』という言葉がまさにぴったりの世界で、正直イヤだなと思います。 まあ、会社の中にも「政治家」はいるわけで、役員に認められたいがためにゴマをする上司。 そのために部下をこき使い、根回しを十分にする上司。ひそひそ話が好きな上司。 また、こういう人こそ既得権を大事にし、権力はふるうが責任は取らない傾向が強いように思います。 まさに『日本型旧体質人間』……。
 と日頃の愚痴はさておき(笑)、最近の政治を見ていると、変だなって思うことがあります。小泉純一郎が首相になってからです。 当初、彼が内閣総理大臣になったとき、マスコミの世論調査ではかなりの高支持率だったかと思いますが、私はどうもこの男に信用がおけませんでした。 どうも発言が軽々しいんですよね。それに自民党が『改革』を叫んだところで、どこまで信憑性があるものか。 さすがに1年もすると大多数の国民もそれに気づき、支持率も妥当なところまで下がってきました。 ただ、歴代の自民党総裁ではとても言えないようなことを歯切れ良く言っている点は評価できます。 まあ、歴代の自民党総裁と比較して評価できるに過ぎませんが……。
 その小泉純一郎の持論が『郵政民営化』です。2005年の通常国会も郵政民営化関連法案の審議が最大の焦点だったわけですが、 審議はそっちのけで、自民党からの造反議員は何人出るか、といった票読みばかりされていた感があります。 結果はご承知の通り、衆院は37人の造反が出たものの5票差で辛くも可決。しかし、参院では22人の造反により17票差で否決されました。
 そもそも郵政民営化の目的は何か? 現在の郵便局の問題点は、
  • 350兆円のお金が国を経由して日本道路公団や住宅金融公庫などの特殊法人に流れ、採算度外視の事業に使われる。
  • 郵便局は税金を納付する必要がない。
  • 郵便局で働く27万人は公務員である(国の税金から給与が支給されている)。
と言われています。
 私は、郵政民営化自体には賛成です。郵便局員の方には申し訳ありませんが、公務員の数が減ることはいいことだと思うからです。 JRやNTT,JTを見れば、民営化の意義は大きいと考えます。
 しかし、だからと言って、今の自民党を支持する気にはなれません。そのあたりが今回の選挙を難しくしているのだと思います。
 これまで自民党を離脱した議員たちは、自民党の古き、悪しき体質から脱却し、新しい日本を作るために新党を結成しました。 現在の民主党がまさにそうです。 しかし、8月17日に綿貫元衆院議長らが立ち上げた『国民新党』は、古い自民党の方が離脱してしまったというねじれ現象が起きています。 ただ、自民党に残った人たちも、実は政策理念では国民新党に近い人の方が多いのではないでしょうか。 自民党議員の多くは、小泉首相のやり方には批判的だけれども、選挙で勝つためには、自民党にいた方が得策だと思っているのではないでしょうか。 本来であれば、小泉首相をはじめとした改革派が自民党から離脱し、改革派同士が連立を組んで改革を進めていくべきですが、 そうしないのは、小泉首相自身が『真の改革派』ではないからだと思います。
 一方の民主党も情けないです。この党こそ『真の改革派』にならなければいけません。 しかし、郵政民営化では、対案も出せないまま、ただ小泉案を反対するだけで終わってしまいました。これでは共産党と一緒です。 選挙戦に入って『預金限度額を段階的に下げて、お金の流れを官から民へ』との政策を打ち出していますが、 肝心の『郵政民営化に賛成か、反対か?』という問いに対しては、お茶を濁してしまっています。 郵便局労働組合との兼ね合いもあるのでしょうが、 『将来的には郵政民営化するが、小泉流のやり方には反対だ』というだけで随分印象が違うと思うのは私だけでしょうか。 民主党こそが郵政民営化について先進的であるべきで、小泉首相の『民営化に○か×か』という幼稚な議論ではなく、 民営化のプロセスはこうあるべきで、将来はこうなるといった、より具体的なビジョンを明確にする必要があると思います。 そうでなければ、今回の衆院選で政権がとれなかった場合、内部分解してしまうような気がします。
 政治好きな私としては、マスコミを含め、真面目な政策論が不足している事態に、物足りなさを感じてしまいます。 郵政でもなんでもいいのですが、せっかく前回の総選挙で『マニフェスト』が定着したわけですから、 前回マニフェストの総点検を行うとともに、次の4年間のマニフェストを明確にしていただき、討論していただければと思います。