BACK

こらむ   2007参院選・地方統一選
 2007年も4月に統一地方選挙が、8月に参議院議員選挙が行われます。 しかし、選挙期間中いつも思うことですが、選挙カーから人の名前の連呼を聞いて、その名前の持ち主がすばらしい!と思う人はいるのでしょうか?
 「○○町のみなさま、毎度お騒がせをいたしましてご迷惑をおかけしております。○○党の○○、○○でございます。○○、○○でございます。」
 別に私たち有権者は候補者の名前を知りたいわけではありません。知らなくても、ポスターを見ればわかりますし、 投票所にも書いてあります。私たちが知りたいのは、「誰が何をしたいのか」ということです。 同じ選挙カーから大声を出すにしても、
 「○○党の○○は、教育改革に力を入れてまいります。特に、30人学級の早期導入と、教員のレベルアップのための免許制導入を実現してまいります。」
と具体的に言っていただければ、まだ熱意が伝わります。 どうせ、選挙カーの大声は、耳を澄まさなくても1分くらい聞こえてくるわけですから、1分くらいは公約を言ってもいいわけです。 選挙カーの人と目が合うと、「ありがとうございます。」と言われますが、私はその候補者に対してまだ何もしていないわけですから、変な話です。
 まだ、国政選挙は政党色が濃いですから、その候補者が所属している政党の公約(最近ですとマニフェストって言うのですかねぇ)から、 誰に投票すべきか、判断できます。しかし、地方議会選挙なんてものになったら、どうしたら良いのかわかりません。 ある市では、市議会議員選挙の選挙区がなく、37〜38名の立候補者の中から定員34人が当選するというところもあるわけです。 新聞を見ても公約はわからず、仕方なく「環境○○団体会長」なんてのが良いかな、と思って投票してみると、何とトップ当選。 そりゃあ、他の議員は「市民クラブ所属」くらいしか書いてないので、「環境」というキーワードだけでも目立つわけです。 というか、落選する3〜4名の方は、よっぽど自己PRが下手なんだなぁ、と思う次第です。
 そもそも公職選挙法が古いわけでして、選挙期間中に行ってよいのは、下記の項目のみなのです。
  • 選挙事務所の設置
  • 選挙運動用自動車の使用 (8:00〜20:00に限る。)
  • 選挙運動用はがき
  • 新聞広告
  • ビラの配布(衆議院議員及び参議院議員選挙に限る。)
  • 選挙公報
  • ポスターの掲示
  • 街頭演説
  • 個人演説会
 選挙事務所は確かに開きますねぇ。選挙運動用自動車、これが最も使われるのではないでしょうか。 はがきや新聞広告は、一部の「金持ち」議員からしか来ません。ビラは地方選挙では禁止ですし、選挙公報って見たことないですねぇ。 新聞の折り込み広告に挟んであるみたいですが、チラシは一切見ないですから……。 ポスターはよく見ますが、顔で判断するわけにもいきませんし、街頭演説はやっているときには別の市町村にいることがほとんどですので聞いたことがありません。 当然会社からでは、個人演説会の時間には間に合いません。 そもそも、街頭演説や個人演説会は、特定の支持候補者がいればいいんですが、そうでなければ先ほどの例ですと37〜38名分聞かなければいけませんので、非現実的です。
 そうなると、選挙公報というのが一番大事みたいですね。これだけ世の中電子化が進んでいるわけですから、インターネットに公開していただけないですかねぇ。 そうそう、私はあの投票行為自体にも疑問を感じています。何故、未だに紙に書いて、人が開票しているのでしょうか。 電子投票なら、開票結果がそれこそ投票時間締め切り直後にわかり、開票作業にかかる人件費の大幅な圧縮につながるはずです。 確かに、岐阜県可児市のように、サーバーダウンなどのトラブルのために、最高裁判所で選挙の無効判決が出るなど、問題があるのも確かですが、 あれはあまりにもシステムがお粗末だっただけであり、予算をケチらずにちゃんとシステムに初期投資していれば、あんなことにはならなかったはずです。 そういう意味では、あの可児市の罪はあまりに大きいですが、時代の流れに合ったシステムを入れていただきたいものです。 個人的には、徳島県鳴門市市会議員選挙の「ヒゲ」と書かれた投票用紙が「有効」になる(高松高等裁判所判決)よりは、 誰に投票したかが一目瞭然な電子システムの方が信頼できます。
 もちろん、従来の方法を廃止してすべて電子化してしまうと、高齢の方などが逆に困ってしまうということもあるでしょうから、 従来の紙ベースの選挙公報を残しながら、より有権者が情報を得る機会を増やすという意味で、 電子化も含めて、時代に合った選挙にしていただきたい、ということが言いたいわけです。 少なくとも、誰もが迷惑だと思っている「選挙カーからの名前の連呼」は、むしろ規制していただきたい。 その代わりとして、電子マニフェストの解禁など、いろいろな方法があるのではないか、ということです。 とにかく税金の無駄遣いは許せません。