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こらむ   私の中の最強馬
 このコラムには競馬に関することを書くつもりはなかったのですが、 昔の競馬雑誌を読んでいるうちに突然最強馬について書きたくなってしまったので、「私の中の最強馬」と題して書いてみたいと思います。
 「ディープインパクト」。「最強馬」であることは誰もが認めることでしょう。 ご存じの通り三冠馬であり、有馬記念こそハーツクライの苦杯をなめましたが、天皇賞(春),宝塚記念を圧勝。 世界のレーティングでもトップの評価を受けるなど、国内外で非常に高い評価を受けています。
 今回のお台は、そんな最強馬が過去にどれほどいたか、ということです。 もちろん、負けたことがなく、大レースを多く勝っている馬が最強馬であることは言うまでもありません。 しかし、競馬の世界では絶対はないことから、無駄な負けが少なく、大レースを多く勝っている馬を、私の中では「最強馬」だと思っています。
 JRAでは、これまで27頭を「顕彰馬」として選出しています (http://www.jra.go.jp/datafile/dendo/index.html参照)。 しかし、私的には「この馬はそうかなぁ?」と思う馬もいれば、「この馬がいないぞ」と思う馬もいます。
 1960年以前の馬はよくわかりません。セントライトはご存じ初代三冠馬で、12戦9勝,2着2回,3着1回という準パーフェクトな成績を残しています。 また、クリフジは牝馬ながらにしてダービーを勝っており、11戦11勝。 トキノミノルは朝日杯3歳S,皐月賞,ダービーを含む10戦10勝の後、破傷風を発症して亡くなったという「幻の馬」。 このあたりが最強馬ということになりそうですが、セントライト,クリフジは太平洋戦争中の混乱期の記録と言うことで、評価が難しいところですし、 トキノミノルは古馬と対戦することなく、また産駒を残すことなくこの世を去ってしまった点、ギリギリアウトかもしれません。 そういう意味では、時代の制約があったにせよ、ダービーを闘うことなく3歳で引退してしまったマルゼンスキーもアウトですし、 ダービーを迎えることなく引退してしまったフジキセキ,アグネスタキオンもアウトということになります。
 という意味で、「初代最強馬」はやはりシンザンですかねぇ。19戦15勝,2着4回。 準パーフェクトな成績であることもさることながら、大レースでは負けていないことが評価できます。
シンザン 1961年生まれ 父:ヒンドスタン,母:ハヤノボリ(母父:ハヤタケ)
レース日レース名条件着順人気騎手斤量コース距離タイム1(2)着馬
1963.11.10新馬 01/141栗田勝51京都芝12001.13.9(ホシツキ)
1963.11.03オープン 01/052栗田勝51阪神芝14001.25.7(エイブルマン)
1963.12.143歳中距離特別7001/082栗田勝55阪神芝16001.40.0(オークラヤマ)
1964.01.04オープン 01/051栗田勝53京都芝16001.42.3(ハナビシ)
1964.03.29スプリングS 01/146栗田勝55東京芝18001.51.3(ヤマニンスーパー)
1964.04.19皐月賞 01/241栗田勝57東京芝20002.04.1(アスカ)
1964.05.16オープン 02/121栗田勝57東京芝18001.50.8ヤマニンシロ
1964.05.31日本ダービー 01/271栗田勝57東京芝24002.28.8(ウメノチカラ)
1964.10.01オープン 02/121栗田勝60阪神芝18001.51.6イチミカド
1964.11.01京都杯 02/061栗田勝60京都芝18001.52.1バリモスニセイ
1964.11.15菊花賞 01/122栗田勝57京都芝30003.13.8(ウメノチカラ)
1965.05.29オープン 01/071武田博59阪神芝16001.37.7(ヤマヒロ)
1965.06.13オープン 01/061武田博59阪神芝18501.53.7(ヤマヒロ)
1965.06.27宝塚記念 01/061栗田勝59阪神芝20002.06.3(バリモスニセイ)
1965.10.02オープン 01/102武田博57阪神芝18501.54.0(ヒカルポーラ)
1965.11.03目黒記念(秋) 01/111栗田勝63東京芝25002.42.2(ブルタカチホ)
1965.11.23天皇賞(秋) 01/121栗田勝58東京芝32003.22.7(ハクズイコウ)
1965.12.18オープン 02/051武田博60中山芝20002.05.5クリデイ
1965.12.26有馬記念 01/081松本善登56中山芝26002.47.2(ミハルカス)
 その反面、タケシバオーという馬はどのように評価して良いのかわかりません。 27戦16勝と書いてしまえばそれまでですが、2着10回,3着1回、 3200mの天皇賞(春)を勝つと思えば、2ヶ月後の英国フェア記念(現・スプリンターズS)をレコードで勝ってしまうという不思議な馬でした。
タケシバオー 1965年生まれ 父:チャイナロック,母:タカツナミ(母父:ヤシママンナ)
レース日レース名条件着順人気騎手斤量コース距離タイム1(2)着馬
1967.06.18オープン 02/083畠山重則50新潟芝10001.00.2イスズヒメ
1967.07.08チューリップS 02/065畠山重則51新潟芝100059.7スズノツバサ
1967.07.23オープン 01/061中野渡清一51函館芝100059.7(ヨシヒロ)
1967.09.093歳特別10003/072中野渡清一51札幌ダ12001.13.4タジマオー
1967.10.22オープン 01/092中野渡清一51福島芝100059.6(スズノツバサ)
1967.11.123歳S 01/091中野渡清一52福島芝11001.07.9(ステートターフ)
1967.12.03オープン 01/102中野渡清一53中山芝12001.12.9(スズノツバサ)
1967.12.17朝日杯3歳S 01/113中野渡清一51中山芝16001.38.4(ステートターフ)
1968.01.28オープン 01/041中野渡清一54中山芝16001.36.9(オンワードビート)
1968.02.18東京4歳S 01/091中野渡清一55中山ダ1700R1.44.3(ヤシマオーカン)
1968.03.17弥生賞 02/051中野渡清一56中山芝16001.37.6アサカオー
1968.04.13オープン 01/061森安弘明57中山芝18001.53.9(タジマオーザ)
1968.04.28スプリングS 02/071森安弘明56中山芝18001.53.3マーチス
1968.05.19皐月賞 02/161森安弘明57中山芝20002.06.4マーチス
1968.06.16NHK杯 02/102森安弘明55中山芝20002.02.8マーチス
1968.07.07日本ダービー 02/192森安弘明57東京芝24002.31.9タニノハローモア
1968.09.21オープン 02/052保田隆芳58東京芝16001.36.4ヤマトダケ
1968.11.11ワシントンDC国際 08/087保田隆芳54.5ローレル芝12FSir Ivor
1968.12.28オープン 02/122古山良司58中山芝18001.54.5ニットウヤヨイ
1969.01.11七草S 02/113古山良司57中山芝18001.50.8シェスキイ
1969.02.02東京新聞杯 01/101保田隆芳58東京ダ2100R2.09.5(クリロイス)
1969.03.01オープン 01/061古山良司60東京ダ1700R1.41.9(スイートフラッグ)
1969.03.16京都記念(春) 01/111古山良司62京都芝24002.34.6(シバフジ)
1969.04.13オープン 01/131古山良司60阪神芝1600R1.35.2(イチトシ)
1969.04.29天皇賞(春) 01/071古山良司58京都芝32003.29.1(アサカオー)
1969.07.06ジュライS 01/091古山良司65中山芝18001.54.6(スイートフラッグ)
1969.09.14毎日王冠 01/071古山良司62東京ダ21002.10.9(ツナエーコウ)
1969.09.28英国フェア開催記念 01/061吉永正62中山芝1200R1.10.4(リュウズキ)
1969.11.11ワシントンDC国際 07/074古山良司54.5ローレル芝12FKarabas
 また、顕彰馬の一覧を眺めていると、キタノカチドキが忘れられてしまっているのではないかと思うときがあります。15戦11勝,2着2回,3着1回。 3着に敗れたダービーは直前のストライキが敗因だと考えられており、また有馬記念8着後に左前種子骨剥離骨折、右前副腕骨骨折が判明し、そのまま引退。 タラレバを言っても仕方がありませんが、もしストライキがなく三冠馬になっていたら、こんなに評価は低くなかったと思われる1頭です。
キタノカチドキ 1971年生まれ 父:テスコボーイ,母:ライトフレーム(母父:ライジングフレーム)
レース日レース名条件着順人気騎手斤量コース距離タイム1(2)着馬
1973.09.16新馬 01/091武邦彦52阪神芝12001.13.4(ヤマニンベンディ)
1973.10.07デイリー杯3歳S 01/112武邦彦53阪神芝14001.25.6(フジノタカザクラ)
1973.11.01オープン 01/061武邦彦55京都芝14001.27.1(ニシノキザン)
1973.12.09阪神3歳S 01/111武邦彦54阪神芝16001.36.2(イットー)
1974.02.10きさらぎ賞 01/071武邦彦55中京芝18001.50.2(ホウシュウミサイル)
1974.03.24スプリングS 01/061武邦彦56中山芝18001.52.1(カネミクニ)
1974.05.03皐月賞 01/141武邦彦57東京芝20002.01.7(コーネルランサー)
1974.05.26日本ダービー 03/231武邦彦57東京芝24002.27.6コーネルランサー
1974.09.29神戸新聞杯 01/131武邦彦56阪神芝20002.00.8(ニホンピロセダン)
1974.10.02京都新聞杯 01/141武邦彦57京都芝20002.03.7(ニホンピロセダン)
1974.11.01菊花賞 01/151武邦彦57京都芝30003.11.9(バンブトンオール)
1975.02.22オープン 02/071武邦彦63京都芝19001.59.3ラッキーオイチ
1975.04.13マイラーズC 01/093田島信行60阪神芝16001.36.1(イットー)
1975.04.29天皇賞(春) 02/181武邦彦58京都芝32003.22.4イチフジイサミ
1975.12.14有馬記念 8/132武邦彦56中山芝25002.38.9イシノアラシ
 その後、競馬は「TTG時代」に突入します。TTGとはテンポイント,トウショウボーイ,グリーングラスの3頭を指します。 このうち、グリーングラスは26戦8勝とちょっと負け過ぎの感があり、実際TT両馬には菊花賞でしか勝っていません。 特に、1977年の有馬記念でTT両馬から遅れた3着だったこともあり、この時点で完全に勝負がついてしまったように思います。 ちなみにグリーングラスは顕彰馬に選ばれてはいません。 で、テンポイント,トウショウボーイのどちらが強かったか、ということになりますが、世間的にはテンポイントの方が上ではないでしょうか。 これは、66.5kgを背負った日経新春杯の悲運の死によって伝説化されたためであると私は考えていますが、 トウショウボーイの成績を見てもテンポイントに見劣りはせず、この両馬は甲乙つけがたいものがあります。 テンポイントはダービーで、トウショウボーイは天皇賞(秋)でそれぞれ7着になっているのが惜しいですが、 テンポイントは18戦11勝,2着4回,3着1回、トウショウボーイは15戦10勝,2着3回,3着1回と、ともにすばらしい成績を残しています。
テンポイント 1973年生まれ 父:コントライト,母:ワカクモ(母父:カバーラップ二世)
レース日レース名条件着順人気騎手斤量コース距離タイム1(2)着馬
1975.08.17新馬 01/091鹿戸明52函館芝1000R58.8(グランドヤマト)
1975.11.09もみじ賞30001/141鹿戸明53京都芝14001.25.4(タカミオーラ)
1975.12.07阪神3歳S 01/111鹿戸明54阪神芝16001.37.1(ゴールデンタテヤマ)
1976.02.15東京4歳S 01/061鹿戸明56東京芝18001.49.6(クライムカイザー)
1976.03.28スプリングS 01/061鹿戸明56中山芝18001.52.4(メジロサガミ)
1976.04.25皐月賞 02/151鹿戸明57東京芝20002.02.4トウショウボーイ
1976.05.03日本ダービー 07/272武邦彦57東京芝24002.29.6クライムカイザー
1976.10.17京都大賞典 03/146鹿戸明54阪神芝24002.27.4パッシングベンチャ
1976.11.14菊花賞 02/213鹿戸明57京都芝30003.10.3グリーングラス
1976.12.19有馬記念 02/143鹿戸明54中山芝25002.34.2トウショウボーイ
1977.02.13京都記念(春) 01/131鹿戸明56京都芝24002.27.2(ホシバージ)
1977.03.27鳴尾記念 01/091鹿戸明61阪神芝24002.32.6(ケイシュウフオード)
1977.04.29天皇賞(春) 01/141鹿戸明58京都芝32003.21.7(クラウンピラード)
1977.06.05宝塚記念 02/061鹿戸明55阪神芝22002.13.1トウショウボーイ
1977.10.16京都大賞典 01/091鹿戸明63京都芝24002.27.9(サイコームサシ)
1977.11.12オープン 01/051鹿戸明60東京芝18001.47.5(ロングホーク)
1977.12.18有馬記念 01/081鹿戸明56中山芝25002.35.4(トウショウボーイ)
1978.01.22日本経済新春杯 中止1鹿戸明66.5京都芝2400競走中止ジンクエイト
トウショウボーイ 1973年生まれ 父:テスコボーイ,母:ソシアルバターフライ(母父:Your Host)
レース日レース名条件着順人気騎手斤量コース距離タイム1(2)着馬
1976.01.31新馬 01/181池上昌弘54東京芝14001.24.7(ローヤルセイカン)
1976.02.22つくし賞30001/121池上昌弘54東京ダ14001.24.8(ホウヨウシルバア)
1976.03.2れんげ賞60001/081池上昌弘54中山芝18001.51.9(ケイシュウフオード)
1976.04.25皐月賞 01/152池上昌弘57東京芝20002.01.6(テンポイント)
1976.05.3日本ダービー 02/271池上昌弘57東京芝24002.27.8クライムカイザー
1976.07.11札幌記念 02/101池上昌弘58札幌ダ20002.03.5グレートセイカン
1976.10.03神戸新聞杯 01/091福永洋一56阪神芝2000R1.58.9(クライムカイザー)
1976.10.24京都新聞杯 01/081福永洋一57阪神芝20002.02.2(クライムカイザー)
1976.11.14菊花賞 03/211福永洋一57京都芝30003.10.7グリーングラス
1976.12.19有馬記念 01/141武邦彦54中山芝2500R2.34.0(テンポイント)
1977.06.05宝塚記念 01/062武邦彦55阪神芝22002.13.0(テンポイント)
1977.06.26高松宮杯 01/091武邦彦62中京芝20002.03.8(センターグッド)
1977.10.23オープン 01/061黛幸弘58中山芝1600R1.33.6(カネコフジ)
1977.11.27天皇賞(秋) 07/121武邦彦58東京芝32003.22.5ホクトボーイ
1977.12.18有馬記念 02/082武邦彦56中山芝25002.35.5テンポイント
 で、次にシンボリルドルフが登場します。15戦13勝,2着1回,3着1回。この馬は文句なく「最強馬」の1頭でしょう。多くを語る必要はないかと思います。 強いて言えば、アメリカに遠征した際に野平師と馬主の和田氏との確執があり、またレース中に故障を発症したことも影響して、 サンルイレイS(G1)では最下位の6着に敗れたことが残念です。
シンボリルドルフ 1981年生まれ 父:パーソロン,母:スイートルナ(母父:スピードシンボリ)
レース日レース名条件着順人気騎手斤量コース距離タイム1(2)着馬
1983.07.23新馬 01/101岡部幸雄53新潟芝100059.2(ブロークンヒル)
1983.10.29いちょう特別40001/171岡部幸雄53東京芝16001.37.3(エビスジョウジ)
1983.11.27オープン 01/051岡部幸雄55東京芝16001.39.9(ハルーダ)
1984.03.04弥生賞G301/142岡部幸雄57中山芝20002.01.7(ビゼンニシキ)
1984.04.15皐月賞G101/181岡部幸雄57中山芝20002.01.1(ビゼンニシキ)
1984.05.27日本ダービーG101/211岡部幸雄57東京芝24002.29.3(スズマッハ)
1984.09.03セントライト記念G301/101岡部幸雄56中山芝2200R2.13.4(オンワードカメルン)
1984.11.11菊花賞G101/181岡部幸雄57京都芝30003.06.8(ゴールドウェイ)
1984.11.25ジャパンカップG103/144岡部幸雄55東京芝24002.26.5カツラギエース
1984.12.22有馬記念G101/111岡部幸雄55中山芝2500R2.32.8(カツラギエース)
1985.03.31日経賞G201/081岡部幸雄58中山芝25002.36.2(カネクロシオ)
1985.04.29天皇賞(春)G101/151岡部幸雄58京都芝32003.20.4(サクラガイセン)
1985.06.02宝塚記念G1取消岡部幸雄56阪神芝2200出走取消スズカコバン
1985.10.27天皇賞(秋)G102/171岡部幸雄58東京芝20001.58.8ギャロップダイナ
1985.11.24ジャパンカップG101/151岡部幸雄57東京芝24002.28.8(ロッキータイガー)
1985.12.22有馬記念G101/101岡部幸雄57中山芝25002.33.1(ミホシンザン)
1986.03.29サンルイレイSG106/073岡部幸雄57サンタアニタ芝12F2.26.8Dahar
 シンボリルドルフの次は、いよいよオグリキャップです。 笠松で12戦10勝,2着2回の成績を残し、鳴り物入りで登場したオグリキャップにより、競馬ブームは最高潮に達します。 そういえば、初代人気馬であるハイセイコーのことを書き忘れましたが、人気の割には中央移籍後G1級レースは宝塚記念しか勝っていないことから、 おそらく「記憶に残る名馬」なんだろうなぁ、と思います。それに対して、オグリキャップは有馬記念2勝,安田記念,マイルCSをそれぞれ1勝。 20戦12勝,2着4回,3着1回。天皇賞を勝っていない点はマイナスですが、タマモクロスやスーパークリーク,イナリワンと比較すれば、 この馬が当時の最強馬だと言っても良いと思います。
オグリキャップ 1985年生まれ 父:ダンシングキャップ,母:ホワイトナルビー(母父:シルバーシャーク)
レース日レース名条件着順人気騎手斤量コース距離タイム1(2)着馬
1988.03.06ペガサスSG301/102河内洋56阪神芝16001.35.6(ラガーブラック)
1988.03.27毎日杯G301/101河内洋57阪神芝20002.04.8(ファンドリデクター)
1988.05.08京都4歳特別G301/151南井克巳58京都芝20002.03.6(コウエイスパート)
1988.06.05NZT4歳SG201/131河内洋56東京芝16001.34.0(リンドホシ)
1988.07.01高松宮杯G201/081河内洋55中京芝2000R1.59.0(ランドヒリュウ)
1988.10.09毎日王冠G201/111河内洋56東京芝18001.49.2(シリウスシンボリ)
1988.10.03天皇賞(秋)G102/131河内洋56東京芝20001.59.0タマモクロス
1988.11.27ジャパンCG103/143河内洋57東京芝24002.25.8ペイザバトラー
1988.12.25有馬記念G101/132岡部幸雄55中山芝25002.33.9(タマモクロス)
1989.09.17オールカマーG301/131南井克巳57中山芝2200R2.12.4(オールダッシュ)
1989.10.08毎日王冠G201/081南井克巳59東京芝18001.46.7(イナリワン)
1989.10.29天皇賞(秋)G102/141南井克巳58東京芝20001.59.1スーパークリーク
1989.11.19マイルCSG101/171南井克巳57京都芝16001.34.6(バンブーメモリー)
1989.11.26ジャパンCG102/152南井克巳57東京芝24002.22.2ホーリックス
1989.12.24有馬記念G105/161南井克巳57中山芝25002.32.5イナリワン
1990.05.13安田記念G101/161武豊57東京芝1600R1.32.4(ヤエノムテキ)
1990.06.01宝塚記念G102/101岡潤一郎57阪神芝22002.14.6オサイチジョージ
1990.10.28天皇賞(秋)G106/181増沢末夫58東京芝20001.58.9ヤエノムテキ
1990.11.25ジャパンCG111/154増沢末夫57東京芝24002.24.1ベタールースンアップ
1990.12.23有馬記念G101/164武豊56中山芝25002.34.2(メジロライアン)
 で、次の顕彰馬はメジロマックイーンとなるわけですが、この馬は21戦12勝。 連対率はすばらしいのですが、3歳春に勝ち上がれず、ダービーに挑戦できなかったことや、意外にも年度代表馬に一度も選出されていないことから、 最強馬ではなかったのかな、という感じもします。 それよりも、3歳で引退してしまいましたが、皐月賞,ダービーを含む8戦7勝,2着1回のミホノブルボンの方が好きですね。 2着というのが、三冠を逃してしまった菊花賞で、名ステイヤー・ライスシャワーに敗れてしまったわけですが、 当時スプリンターと言われていたミホノブルボンが二冠馬になれたのは、戸山師の「鍛えて強い馬を作る」信念と、 1ハロン12秒台のラップをコンスタントに刻む逃げ戦法にあったと言われています。
ミホノブルボン 1989年生まれ 父:マグニチュード,母:カツミエコー(母父:シャレー)
レース日レース名条件着順人気騎手斤量コース距離タイム1(2)着馬
1991.09.07新馬 01/131小島貞博53中京芝1000R58.1(ホウエイセイコー)
1991.11.23500万下50001/111小島貞博54東京芝16001.35.1(クリトライ)
1991.12.08朝日杯3歳SG101/081小島貞博54中山芝16001.34.5(ヤマニンミラクル)
1992.03.29スプリングSG201/142小島貞博56中山芝18001.50.1(マーメイドタバン)
1992.04.19皐月賞G101/171小島貞博57中山芝20002.01.4(ナリタタイセイ)
1992.05.31日本ダービーG101/181小島貞博57東京芝24002.27.8(ライスシャワー)
1992.10.18京都新聞杯G201/101小島貞博57京都芝2200R2.12.0(ライスシャワー)
1992.11.08菊花賞G102/181小島貞博57京都芝30003.05.2ライスシャワー
 次に登場するのは三冠馬ナリタブライアン、と言いたいところですが、私的にナリタブライアンに対して良いイメージを持っていません。 ナリタブライアンが強かったのは朝日杯3歳Sから三冠を制した次の年の阪神大賞典までの約1年半に過ぎないと思うからです。 特に、天皇賞(秋)で12着に惨敗したことや、1200mの高松宮記念に出走して4着に敗れたことが印象を悪くしています。 私的には、ナリタブライアンより全兄のビワハヤヒデを評価しているところがあります。ビワハヤヒデは16戦10勝,2着5回。 クラシックレースは当時三強と言われていたナリタタイシン,ウイニングチケットと分け合うことになりますが、 古馬になってからはこの2頭に対しては完勝。欲を言えば、ナリタブライアンとの直接対決を見てみたかったように思います。
ビワハヤヒデ 1990年生まれ 父:シャルード,母:パシフィカス(母父:Northern Dancer)
レース日レース名条件着順人気騎手斤量コース距離タイム1(2)着馬
1992.09.13新馬 01/142岸滋彦53阪神芝16001.38.3(テイエムシンザン)
1992.10.01もみじSOP01/101岸滋彦53京都芝1600R1.34.3(シルクムーンライト)
1992.11.07デイリー杯3歳SG201/091岸滋彦54京都芝1400R1.21.7(テイエムハリケーン)
1992.12.13朝日杯3歳SG102/121岸滋彦54中山芝16001.35.5エルウェーウィン
1993.02.14共同通信杯4歳SG302/091岸滋彦57東京芝18001.48.7マイネルリマーク
1993.03.02若葉SOP01/081岡部幸雄56中山芝20002.00.9(ケントニーオー)
1993.04.18皐月賞G102/182岡部幸雄57中山芝20002.00.3ナリタタイシン
1993.05.03日本ダービーG102/182岡部幸雄57東京芝24002.25.6ウイニングチケット
1993.09.26神戸新聞杯G201/091岡部幸雄56阪神芝20002.02.9(ネーハイシーザー)
1993.11.07菊花賞 G101/181岡部幸雄57京都芝3000R3.04.7(ステージチャンプ)
1993.12.26有馬記念G102/141岡部幸雄55中山芝25002.31.0トウカイテイオー
1994.02.13京都記念G201/101岡部幸雄59阪神芝22002.16.8(ルーブルアクト)
1994.04.24天皇賞(春)G101/111岡部幸雄58阪神芝32003.22.6(ナリタタイシン)
1994.06.12宝塚記念G101/141岡部幸雄56阪神芝2200R2.11.2(アイルトンシンボリ)
1994.09.18オールカマーG301/081岡部幸雄57中山芝22002.14.5(ウイニングチケット)
1994.10.03天皇賞(秋)G105/131岡部幸雄58東京芝20001.59.1ネーハイシーザー
 とは言え、ミホノブルボンは有馬記念を迎えることなく引退してしまったという点では、フジキセキやアグネスタキオンと大きな差があるとは言えませんし、 ビワハヤヒデについても強かった時期が2年以上あったかといわれると、ナリタブライアンと大きな差があるとは言えないかもしれません。 例えば、1993年の有馬記念は最もメンバーが揃ったと言われていますが、ちょっと失礼ながらG1馬以外の脇役の代わりに下記のようなメンバーになったらどうでしょうか?
馬名性齢騎手主な勝ち鞍
11オグリキャップ牡8安藤勝56有馬記念,安田記念,マイルCS
22スーパークリーク牡8武豊56菊花賞,天皇賞(春・秋)
33ベガ牝3橋本美53桜花賞,オークス
34トウカイテイオー牡5田原56皐月賞,ダービー,天皇賞(春・秋),有馬記念,ジャパンC
45メジロマックイーン牡6内田56菊花賞,天皇賞(春),宝塚記念
46ライスシャワー牡4的場57菊花賞,天皇賞(春)
57ミホノブルボン牡4小島貞57皐月賞,ダービー
58タマモクロス牡9松永56天皇賞(春・秋),宝塚記念
69レガシーワールドセ4河内57ジャパンC
610エルウェーウィン牡3岸55朝日杯3歳S
711イナリワン牡9柴田政56天皇賞(春),有馬記念,宝塚記念
712ナリタブライアン牡2南井53皐月賞,ダービー,菊花賞,有馬記念
813ビワハヤヒデ牡3岡部55菊花賞,天皇賞(春),宝塚記念
814メジロパーマー牡6横山典56有馬記念
 何だかどの馬が勝っても良さそうな気になってきました。おそらく何回戦ってもこの馬が絶対勝つというのが真の最強馬なのでしょう。 そういう意味では、この中には真の最強馬はいなかったのかもしれません。 しかし、このメンバーでもミホノブルボンが逃げ切ってしまったかもしれませんし、ビワハヤヒデもナリタブライアンに土をつけていたかもしれません。 そういう意味では、ナリタブライアンなど他の馬は底を見せてしまっているわけで、ミホノブルボンやビワハヤヒデは真の最強馬ではないかもしれませんが、 最強馬となる資格を持ったまま引退してしまったというのが一番しっくり来るのでしょうか。
 ちなみに、1993年有馬記念の勝ち馬はトウカイテイオー。 12戦9勝,残りの3戦は着外ですが、休み明けに骨折と敗因がはっきりしているだけに、この馬も最強馬の1頭に数えていいかもしれません。 とにかく最後の有馬記念の「奇跡の復活」は感動的でした。
トウカイテイオー 1988年生まれ 父:シンボリルドルフ,母:トウカイナチュラル(母父:ナイスダンサー)
レース日レース名条件着順人気騎手斤量コース距離タイム1(2)着馬
1990.12.01新馬 01/131安田隆行54中京芝18001.52.9(カラーガード)
1990.12.23シクラメンSOP01/093安田隆行54京都芝20002.03.8(イイデサターン)
1991.01.19若駒SOP01/091安田隆行55京都芝20002.01.4(イイデサターン)
1991.03.17若葉SOP01/191安田隆行54中山芝20002.03.6(アサキチ)
1991.04.14皐月賞G101/181安田隆行57中山芝20002.01.8(シャコーグレイド)
1991.05.26日本ダービーG101/201安田隆行57東京芝24002.25.9(レオダーバン)
1992.04.05産経大阪杯G201/081岡部幸雄58阪神芝20002.06.3(ゴールデンアワー)
1992.04.26天皇賞(春)G105/141岡部幸雄58京都芝32003.21.7メジロマックイーン
1992.11.01天皇賞(秋)G107/181岡部幸雄58東京芝20001.59.1レッツゴーターキン
1992.11.29ジャパンCG101/145岡部幸雄57東京芝24002.24.6(ナチュラリズム)
1992.12.27有馬記念G111/161田原成貴57中山芝25002.34.8メジロパーマー
1993.12.26有馬記念G101/144田原成貴56中山芝25002.30.9(ビワハヤヒデ)
 そして、フジキセキが1994年にデビューし、サンデーサイレンス時代が到来しました。 フジキセキ(94朝日杯3歳S),ジェニュイン(95皐月賞),タヤスツヨシ(95ダービー),イシノサンデー(96皐月賞),ダンスインザダーク(96菊花賞), バブルガムフェロー(96天皇賞(秋)),マーベラスサンデー(97宝塚記念),スペシャルウィーク(98ダービー,99天皇賞(春・秋),99ジャパンC), サイレンススズカ(98宝塚記念),アドマイヤベガ(99ダービー),エアシャカール(00皐月賞,菊花賞),アグネスフライト(00ダービー), アグネスタキオン(01皐月賞),マンハッタンカフェ(01菊花賞,01有馬記念,02天皇賞(春)),ステイゴールド(01香港ヴァーズ), デュランダル(03スプリンターズS,03,04マイルCS),ネオユニヴァース(03皐月賞,ダービー),スティルインラブ(03牝馬三冠), ゼンノロブロイ(04天皇賞(秋),04ジャパンカップ,04有馬記念) と、G1馬だけで多くの名前が挙がってきます。逆にSS産駒同士がライバルとなってしまい、なかなか最強馬が現れませんでした。
 といっても、この時代の馬が弱かったかと言うと、そうではありません。 馬場の改良などがありますので一概には比較できませんが、シンザンのダービーの勝ち時計は2.28.8、シンボリルドルフが2.29.3、タヤスツヨシが2.27.3。 特にバブル経済で欧米から多くの良血馬が輸入され、日本の競馬のレベルは飛躍的に向上しました。 引退後の種牡馬の成績を見ても、SS産駒の仔(SSの孫)は活躍していますが、先ほどの1993年仮想有馬記念のメンバーの産駒でG1を勝っているのは、 トウカイポイント(02マイルCS,父:トウカイテイオー),アドマイヤベガ(99ダービー,母:ベガ), アドマイヤドン(01朝日杯FS,03,04JBCクラシック,03南部杯,04フェブラリーS,04帝王賞,母:ベガ)の3頭だけです。 それでは、シンザンやシンボリルドルフは弱いのかというとそうではなく、1960年代の最強馬はシンザンであり、80年代の最強馬はシンボリルドルフ。 ただそれだけのことです。
 一方、多くの外国産馬が輸入される中に、最強馬がいました。タイキシャトルとエルコンドルパサーです。 タイキシャトルはマイルのスペシャリストで13戦11勝,2着1回,3着1回の準パーフェクトな成績。この中にはフランスのG1ジャック・ル・マロワ賞制覇も含まれています。 エルコンドルパサーは11戦8勝,2着3回とこちらもすばらしい成績。2着の中に凱旋門賞(仏G1)が含まれているところが、この馬の強さを物語っています。
タイキシャトル 1994年生まれ 父:Devil's Bag,母:ウェルシュマフィン(母父:Caerleon)
レース日レース名条件着順人気騎手斤量コース距離タイム1(2)着馬
1997.04.19未勝利 01/161岡部幸雄55東京ダ16001.39.0(アカシグリスン)
1997.05.03500万下50001/161岡部幸雄55京都ダ12001.12.2(サウンドカスケード)
1997.06.08菖蒲SOP01/092岡部幸雄55東京芝16001.36.5(シンコウスプレンダ)
1997.07.06菩提樹SOP02/141岡部幸雄56阪神芝14001.20.9テンザンストーム
1997.10.04ユニコーンSG301/163岡部幸雄56東京ダ16001.36.8(ワシントンカラー)
1997.10.25スワンSG201/162横山典弘55京都芝14001.20.7(スギノハヤカゼ)
1997.11.16マイルCSG101/182横山典弘55京都芝16001.33.3(キョウエイマーチ)
1997.12.14スプリンターズSG101/161岡部幸雄55中山芝12001.07.8(スギノハヤカゼ)
1998.05.16京王杯スプリングCG201/161岡部幸雄58東京芝1400R1.20.1(オースミタイクーン)
1998.06.14安田記念G101/171岡部幸雄58東京芝16001.37.5(オリエンタルエクスプレス)
1998.08.16ジャックルマロワ賞G101/081岡部幸雄59ドーヴィル芝16001.37.4(Among Men)
1998.11.22マイルCSG101/131岡部幸雄57京都芝16001.33.3(ビッグサンデー)
1998.12.02スプリンターズSG103/151岡部幸雄57中山芝12001.08.6マイネルラヴ
エルコンドルパサー 1995年生まれ 父:Kingmambo,母:サドラーズギャル(母父:Sadler's Wells)
レース日レース名条件着順人気騎手斤量コース距離タイム1(2)着馬
1997.11.08新馬 01/091的場均54東京ダ16001.39.3(マンダリンスター)
1998.01.11500万下50001/131的場均55中山ダ18001.52.3(タイホウウンリュウ)
1998.02.15共同通信杯4歳S 01/091的場均55東京ダ16001.36.9(ハイパーナカヤマ)
1998.04.26NZT4歳SG201/181的場均56東京芝14001.22.2(スギノキューティー)
1998.05.17NHKマイルCG101/171的場均57東京芝16001.33.7(シンコウエドワード)
1998.10.11毎日王冠G202/093蛯名正義57東京芝18001.45.3サイレンススズカ
1998.11.29ジャパンCG101/153蛯名正義55東京芝24002.25.9(エアグルーヴ)
1999.05.23イスパーン賞G102/081蛯名正義58ロンシャン芝18501.53.8Croco Rouge
1999.07.04サンクルー大賞G101/102蛯名正義61サンクルー芝24002.28.8(Tiger Hill)
1999.09.12フォワ賞G201/031蛯名正義58ロンシャン芝24002.31.4(Borgia)
1999.10.03凱旋門賞G102/142蛯名正義59.5ロンシャン芝24002.38.6Montjeu
 バブル経済が崩壊し、2002年にサンデーサイレンスがこの世を去りました。 その2002年に誕生した1頭がディープインパクトであり、SS産駒の集大成であり、またSS産駒同士の戦国時代の終止符を打つことになります。 私的には、この馬はシンボリルドルフに似ているのではないかと思っています。時代を卓越した強さ。国内に敵なし。そして海外遠征……。 ディープインパクトには、シンボリルドルフが成し得なかった海外G1制覇、それも世界最高峰の凱旋門賞制覇の夢が託されています。
ディープインパクト 2002年生まれ 父:サンデーサイレンス,母:ウインドインハーヘア(母父:Alzao)
レース日レース名条件着順人気騎手斤量コース距離タイム1(2)着馬
2004.12.19新馬 01/91武豊55阪神芝20002.03.8(コンゴウリキシオー)
2005.01.22若駒SOP01/071武豊56京都芝20002.00.8(ケイアイヘネシー)
2005.03.06弥生賞G201/101武豊56中山芝20002.02.2(アドマイヤジャパン)
2005.04.17皐月賞G101/181武豊57中山芝20001.59.2(シックスセンス)
2005.05.29日本ダービーG101/181武豊57東京芝24002.23.3(インティライミ)
2005.09.25神戸新聞杯G201/131武豊56阪神芝20001.58.4(シックスセンス)
2005.10.23菊花賞G101/161武豊57京都芝30003.04.6(アドマイヤジャパン)
2005.12.25有馬記念G102/161武豊55中山芝25002.32.0ハーツクライ
2006.03.19阪神大賞典G201/091武豊58阪神芝30003.08.8(トウカイトリック)
2006.04.03天皇賞(春)G101/171武豊58京都芝3200R3.13.4(リンカーン)
2006.06.25宝塚記念G101/131武豊58京都芝22002.13.0(ナリタセンチュリー)